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    手記
    category: Ventaglio
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      私は予感がすることが多い。これが結構当たるのだ。だから自分の考えとその予感を頼りにして物事を進めることが多かったのだがーー、今回の件は間違いであって欲しかった。彼の死については。
      それが訪れたのはその当日の起床時だった。ふと(今日は葵さんに任務を通達しなきゃな)と考えるとぞわりと悪寒がしたのである。彼に任務を告げている際も嫌な予感がしてたまらなかった。…彼が帰ってこないのではないかという気がしてたまらなかったのだ。「行ってくるよ」と私に背を向けドアを開けてその任務へ向かおうとする葵さんへ言葉を告げて私はため息をついて椅子にどかりともたれこんだのである。



      その数時間後、急遽別の任務が入った昴さんの代わりに応援に向かったソルトさんに担がれて帰ってきたのは既に息絶えた、葵さんだった。全身血まみれで青白い顔をしている葵さんを見て身体が震えた。震える手で葵さんの髪や頬を撫でるとひんやりと冷たくて恐ろしくなってその手を早く引っ込めた。胸の奥からどっと悲しさが溢れ出して私の眼からもぼろぼろと涙が溢れた。ごめんなさいごめんなさいと何度呟いたか分からない。私は葵さんと幼い頃から一緒にいた、はずなのに守れなかった。守っていてくれていたのに、守れなかったのである。ソルトさんから嗚咽して跳ねる背中を撫でられるが申し訳ないことにそれよりも悲しみと自分の不甲斐なさが勝ってしまう。

      「すみませ、……私は部屋に戻ります。葵さんのこと、よろしくお願いします」

      息を落ち着かせながらソルトさんに一礼し目線を葵さんに向けて近寄り再度さらりとした髪を撫でる。

      「…さよな、ら。よく頑張りました」

      ぽつりと呟いた声はきっとソルトさんにも聞こえないはずであろう。私は手を離して震える体を必死に動かしながら足早に自室に戻って、またわんわんと泣いたのである。





      「………麗」

      机の引き出しの中に入っていた少し埃かぶる手記を手に取り読んで、男はその手記を書いた者の名前を呟いた。

      彼女は、もう居ない。
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      お嬢様の婚約者
      category: 企画
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        朝日がカーテンの隙間から射して、少女の目を覚まさせた。

        少女・・・もとい、ロザリーは一つ大きな背伸びをしてベッドから降りて窓を開ける。

        「今日もいい天気ね、いいことあるような気がするわ」

        「本当にいい天気だよね、憎たらしいほどに」

        独り言のつもりで言った言葉に突如返答が来たことに驚いたロザリーは小さく悲鳴をあげる。

        振り向くとそこには執事の閏がにこにこと立っていた。

        「ちょっと!閏くんいきなり背後に立たないでくれる!?・・・というか、ノックは!?」

        「ノック?僕とロザリーちゃんの仲なのに?僕達を隔てる邪魔だしドアなんてなくてもいいぐらいだよ」

        「ああ、それも・・・って、違うわよ!さすがにドアぐらいは欲しいわ!危ない・・・流されるところだったわ」

        「それは残念。それで今日の予定なんだけど――」

        にこりと笑うと閏は持っていた黒いスケジュール張をぱらぱらと開き、さらさらと読んでいく。・・・・が。

        「―――この予定がすべてキャンセル。ロザリーちゃん、旦那様がお呼びだよ」

        ぱたんと音を立ててスケジュール張を閉めてまた一つにこりと笑う。・・・目が笑っていない。

        「(な、何なのかしら・・・・)わ、わかったわよ。とりあえず着替えるから閏くん出て行って頂戴?」

        「え、何で。僕とロザリーちゃんのな「い・い・か・ら!出て行って!!!」わかったよ強引だなあ」

        ロザリーはドアに向かって閏をぐいぐいと押し出してぱたんとドアを閉めて同時に鍵も閉める。

        (朝から大変ね)そう思ってロザリーはクローゼットに向かった。





        (・・・・・さてどうするか)

        閏は執務室で深く深く考えていた。今朝、聞いた″旦那様”からロザリーへの通達での件でのことだ。

        (まさか、ロザリーちゃんに婚約者の話が来るとは)

        通達はこうだ。『ロザリーに、と婚約の話が出ている。』

        (いつかは来るとは思っていたけれど)

        閏はほくそ笑んだ。誰かのものにロザリーがなるなんて考えられないし、

        (・・・・・・僕のものだ。)

        それだけは閏の中では変わっていない。幼いころからずっと一緒だったのだ。誰にも譲る気はない。

        ――たとえ、″旦那様”にだって。

        (ということは?)

        (やるべきことは一つしかないじゃないか。)

        そう思い、閏は口角をあげて、椅子から立ち上がり帽子とコートを手に取り部屋を後にした。






        「あっ閏くん!どこ行ってたのよこんな夜まで!」

        「あ、ロザリーちゃん。まだ起きてたんだ」

        帰宅した閏を見つけたロザリーは閏に駆け寄る。

        そんなロザリーに肌に悪いよ、と言ってからかうとむうとロザリーは頬を膨らませた。

        「それより聞いてほしいの!私にこ「ああ、それはもうないと思うよ」・・・へ?」

        にこりと笑って言う閏にロザリーは呆気にとられる。

        「ないってどういう・・・?」

        「その話はもうないってこと。ほら、だって思ってもみなよ。ロザリーちゃんは僕のものでしょ?」

        「な、」と声を漏らしてロザリーは赤くなり叫ぶ。

        「いつからあなたのものになったのよっ!!!!!!」
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        ずるい。
        category: 企画
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          「鳶先輩っ」

          そう後ろから僕を呼ぶ聞き慣れた声がして振り返ると、にこにこしながら駆け寄ってくる愛華さんがいた。
           ふと、持っている本を見ると“理科”と書かれた教科書と女子らしいカラフルなノート。
          移動教室だったと伺えた。
           
          「愛華さん教室に帰る途中なんですか?」

          きっと、『なんでわかるんですか!?』と驚かれるだろうと思ってにっこりとして言うと、

          「どうしてわかったんですか!?」

          本気で吃驚した表情を浮かべた後、きらきらとした瞳で言ってくるものだから僕は思わず笑ってしまった。

          「え、ええっ!?どうして笑うんですかっ!?」
           
          わたわたとし始める愛華さんに僕は一通り笑って乱れた息を整えると「それ。」と言って教科書を指を差す。
          すると愛華さんは「あっ」と言うと少し恥ずかしくなったのか赤くなってしまう。
          それが、また可愛くて(少し面白いとも思ったが)愛華さんの頭を撫でた。
           
          「子ども扱いしないでください…」

          そう言って愛華さんは頬を膨らませる。

          「すみません、なんだか可愛くて」

          僕がそう言うとうう・・・といって赤い顔のまま愛華さんは俯いてしまった。
           
          「・・・・・・・・・あぁそうだ、愛華さん」
           
          「はい?」

          ぱっと上を向いた彼女の唇に触れるだけのキスをする。
          唇が離れた愛華さんは吃驚しながらさっき以上の真っ赤な顔で僕を見た。

          「・・・真っ赤、ですよ?」

          「あ、ああああああ当たり前ですっ・・・!」

          一気に体中が火照ったのだろう、顔を両手で押さえている愛華さんをクスクスと笑って見ていると授業開始前の予鈴が鳴った。

          「あ、わ、わたしいきますね!」

          そう言ってぱっと離れる愛華さんに僕はまた笑って「ええ、また」と言う。
          そしてお互い違う方向に振り返って歩みだした。・・・すると。

          「鳶先輩!」

          少しだけ大きな声で呼ばれて用がまだ何かあるのだろうかと振り返る。

          「好きですよ!」

          そう言いはにかんで一年の教室に戻っていく彼女を僕はただただ少し目を見開いて見送った。

          「〜〜〜〜っ!」

          体が火照ってきて廊下の窓に寄りかかる。

          ああ、もう。

          彼女は本当にずるい人だ。

          そう実感して、僕は緩む頬を堪えながら教室へと向かった。
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          水性の雨
          category: Ventaglio
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            ■在処さんへお捧げします!!




            今日もいつも通りに目を覚ました。
            眠気の残る顔を冷水で洗って歯磨き。この行動もいつも通りだ。

            (確か、今日は偵察の任務が入っていたな)

            偵察に行くには少し早い。コーヒーでも飲んで体鍊しようとキッチンへ行くと、明かり。

            「――――麗?・・・とレン?」

            「あ・・・!ソルトさんおはようございます・・・!」

            エプロンを身につけている麗とレンに少し目を見開く。

            「珍しいな、何してるんだ?」

            「えっ!?え!?あ、えーっと・・・!あ!ソルトさんコーヒーですよね!?レンさん淹れてください!」

            「分かりました、麗様」

            「え、いや、自分で淹れるからいいんだが・・・」

            麗に椅子に座れと急かされて座る。暫くするとレンがコーヒーカップを持ってきて置いた。

            「すまないな、レン」

            「いや、大丈夫。・・・今日の偵察頑張って」

            そう言うとレンはキッチンに立っている麗の元へ行き麗の作業を手伝う。

            ・・・今日は、何か特別な日だっただろうか。

            そう思って色々なことを思い出してみるが全く、それと思えるものが考えつかない。
            考えていると秦がやってきて体鍊に付き合ってくれといつもの様にせがまれた。

            (いつものことだ、)

            そう思って「いいぞ」と返事をすると俺は秦と共に体鍊場に行き、終えた俺は偵察に出掛けた。


                                     *


            今日はソルトさんの誕生日だとソルトさんを除いた幹部で以前から話していた。

            「私とレンさんがお料理係なので葵さんと昴さんが飾り付け担当でいいですね?」

            「ラジャー!」

            元気良く敬礼をする昴さんと「わかったよ」と微笑む葵さん、「了解」と言うレンさんを横目に秦くんが異議!と言わんばかりに手を挙げる。

            「俺の役割は!?」

            正直言って。・・・秦くんにはお料理も飾り付けも頼めない。
            理由は簡単。・・・不器用すぎるから。
            輪っかはわざとじゃないとしても千切ってしまうと思うし、・・・きっとお料理を任せたら黒焦げになってしまうんだろう・・・。

            「秦くんには最重要任務です、このサプライズパーティーが決してソルトさんにバレてしまわないこと。」

            「さ、最重要任務・・・!姉さん、俺この任務頑張る!」

            きらきらとした目をしながら宣言する秦くんに大きな罪悪感を抱きながらも頑張ってと言った。

            ―――――そして今に至る。

            「び、びっくりしましたねレンさん・・・!やっぱりソルトさんが行った後の方が良かったです」

            「・・・心臓に悪いに程があります。あ、このケーキのスポンジはテーブルの上に置いておきましょう」

            てきぱきとするレンさんを見習って私も負けじとせっせと働いた。
            葵さん達の飾り付けはどうなってるんだろうか。そう思いながら。

                                *

            時刻は午後7時半過ぎ。
            予定通りの帰宅だった。
            早くファミリーのもとへ戻りたい。
            そう思いながらリビングのドアを開けた―――――――瞬間。

            「お誕生日おめでとうございますソルトさん!!」

            クラッカー音と共に麗の声が聞こえ、目を丸くした。

            「・・・え?」

            「『え?』って今日はソルトの誕生日でしょ?・・・忘れてた?」

            誕生日?今日は―――・・・・

            「・・・・・あ。」

            「反応遅いよね。僕たち頑張って準備したのに」

            そうだった。今日は俺の誕生日だ。それじゃあ朝、麗とレンが早かったのも。

            「お料理をしてました。ね、レンさん」

            「はい、そうですね麗様」

            ニコニコと話す麗と珍しく少し照れくさそうに言うレンにありがとう、と言うと辺りの飾りを見る。

            「こんなに飾りやらつけて大変だっただろう」

            「ふっふーん!それがね〜違うんだよソルト!」

            昴がぼそりと言葉を言うと、・・・飾りが一瞬にして違うものに変わる。

            「昴が幻術がいいって聞かなくてね。普段の成果を出せる絶好のチャンスだしって」

            呆れた声で葵が言うと麗は「やけに飾り付けが早すぎると思いました」と呟いた。

            「どうかな?・・・だめだった?気に食わなかった?」

            「いや、・・・そんな訳ないだろう。十分だ、ありがとう」

            そう言うと昴は笑って嬉しそうにしていた。

            「俺は最重要任務をやったんだ、ソルト!お前にこのサプライズをバレないようにするっていう最重要任務を!」

            自慢そうに言う秦を見て、すぐに麗の方をちらりと見る。
            ふるふると首を振っていた。
            ・・・・そうだな、料理やら飾り付けに携わらせたらとんでもないことになりそうだからな。

            「そうか、任務果たせてよかったな秦」

            麗、お前の判断は合っていたと思うぞ。

            「さて、そろそろ皆さん席に座ってください!」

            麗の声でそれぞれの椅子に座る。食卓には豪華な食事、大きなバースデーケーキ。

            「改めましてソルトさん、お誕生日おめでとうございます!・・・乾杯!」

            かちん、とグラスを鳴らしてテーブルに置く。
            昴たちがどっと食事を取り出した。
            レンと葵が呆れて見ている。

            (・・・・ああ、なんて)

            心地のいい場所なんだろうか。

            「ねえ、ソルトさん」

            いつの間にか隣に来たらしい麗が微笑みながら話しかける。

            「喜んで、頂けましたか?」

            「ああ、・・・当たり前だろう」



            性の
            (ソルト、泣いたっていいんだよ〜!?)
            (誰が泣くか)


            お題 / 反転コンタクト 様

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            哀調ワルツ-2-
            category: Ventaglio
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              あれから、秦くんの病態は嘘のようにたちまち良くなってすぐに家へ帰った。
              秦くんはぶっきらぼうのくせに変に律儀のようで、帰った後のことを私に教えてくれた。
              ソルトさんという人がうるさく叱ってきただとか、お姉さんが心配していただとか。

              特にお姉さんの時に嬉しく言うものだから、秦くんはシスコンなのかと考察。

              まぁとにかく秦くんを助けた時に来ていた服を私がまだ持っていて、
              返す為に連絡先は交換している。

              ――そして暇さえあれば秦くんは私の家に遊びに来るようになっていた。



              「・・・そういえば」

              いつもの如く遊びに来て勝手に私のお菓子を食べる秦くんはいきなり呟いた。
              ここ数日で分かったことなんだけど、秦くんは人への順応が早いらしい。
              ・・・・・・それ、一番楽しみにしてたお菓子なんだけどなぁ・・・。
              そんなことを思いながら洗濯した服を干しながら私は思う。

              「お前、なんで学校行ってないんだよ」

              「え、それ知りたい?つまらないことだよ?」

              干し終わってベランダを閉めながら言うと秦くんが「つまらないこと?」と聞き返した。

              「私ね、家族がいないの」

              「え」

              空気が凍った。
              横目で見るとびっくりした表情の秦くん。
              やっぱり、・・・びっくりするよね。

              「私が本当に小さい頃に、事故で死んじゃって。そこから親戚の家転々としたんだけど煙たがられてね、」

              小さいながらにわかってた。私が、どれだけ邪魔なのかと。

              「自分で生活できるようになった年になったとき、・・・この家もらったの。」

              「・・・・」

              「お金、私が払わないと、いけ、ないから、」

              どれだけ、家族を知らない人間なのかと。

              「だから・・・っ・・・!っわ、」

              それから言葉を出そうとした瞬間、腕を掴まれて―――抱きしめられた。

              「ちょ、秦く『ごめん』・・・・・・秦くん?」

              「そんな、の言わせて、思い出させて、」

              私を抱きしめる秦くんの腕が強くなる。やめて、お願いだから。

              「いいから、お願いだから、」

              「ごめん、・・・・ごめん・・・っ」

              秦くんは幸せな人でしょう、私とは釣り合わないから、お願いだから、

              「俺は、姉さんもいるし、ソルトもいるし、母さんとかはいないけど家族は居るから、」

              心配してくれる、人がいるでしょう?お願いだから、

              「俺が、お前を幸せにする」

              「―――――――!」

              世界の色が、変わった気がした。
              灰色の世界から、カラフルな色の世界へと変わった気がした。
              嘘かと、一瞬思った。
              私を幸せにしてくれる人がいるのかと疑った。
              だけどこの人は、

              「・・・ほん、っとに・・・?」

              「あぁ、本当に」

              私を人として幸せにしてくれると言ってくれた。

              「わた、し・・・っ本当に幸せになれる・・・っ・・・?」

              「きっと、幸せに」

              「秦く、・・・っ・・・秦くん・・・っ!」

              ぼろぼろと出てくる涙に秦くんは少し笑ったかと思うとすぐに真っ赤になって私の頭を押し付ける。

              「ありがとう、・・・ありがとう・・・っ」

              礼を言う私に「はいはい」と言いながらぽんぽんと私の背中を照れながらも叩いてくれる、
              出会って数日で、そんな秦くんに私は恋をしたのです。


              調ワルツ-2-
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              哀調ワルツ‐1‐
              category: Ventaglio
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                助けたのは、必然だったと私は思っている。

                なるべく困っている人を助けるのは当たり前だと思っているから。

                「大丈夫ですか!?」

                「え・・・?」

                相手がマフィアであろうとも。


                                  調ワルツ‐1‐


                あの人に出会ったのは夜中だった。
                私が自宅へ帰っている途中の道の建物と建物の間に彼は居た。
                最初は、ホームレスなのかと思った。
                立ち止まってその人を眺める。

                ――ズボンに赤い染みに、荒い息遣い。

                気がつくと、その人を助けていた。



                                        *



                「・・・あんた」

                「んー?なあに?」

                彼を助けて3日。
                医者に見てもらうと彼の脚には銃弾が入っていたらしい、高熱もあった。
                詳しいことは分からないけれど、それなりの事情があるのだろう。
                彼はしばらく私の家で安静にしてある程度熱が下がった後、自分の家に電話した。
                ・・・随分と大きな声で相手の男の人に怒られていたけれど。
                調理をしている私に警戒しているのだろう彼が話しかけた。

                「俺が何者なのか知らなくていいのかよ」

                「あぁ!それは知ってたほうがいいなぁ・・・、ねぇ名前は?」

                「じゃなくて!・・・まあいいけど・・・。俺は、蓮漣 秦。」

                「へえ〜秦くんかぁ。あ、私は大宮 伊桜里。」

                秦、と名乗った彼に作ったお粥を手渡した。
                秦くんは少し小さな声で礼を言うとお粥を凝視する。

                「食べないの?」

                「盛ってないよな」

                「何を?」

                「毒、とか」

                「そんな訳ないじゃない!うちは一般的な普通家庭なんだから!」

                「・・・だよな」

                そう言って秦くんはお粥を一口食べて、また話しだした。

                「歳は?」

                「18歳。学校には行ってないよ」

                「お前18?ついでに俺は19。・・・ああ、俺も学校行ってない」

                お互い行ってないんだ、と薄く秦くんは笑ってまたお粥を食べだす。

                「・・・・・・ねぇ、なんで秦くんはあの日、あんな所に居たの?」

                「・・・聞きてぇの?」

                食べ終わったお粥のカップをベッド横の机に置いて私をじっと秦くんは見つめた。
                私がうん、と首を縦に振ると「どうしても?」と念を押してきた。
                それでも私が首を縦に振ると秦くんは1つ息を吐いて語りだす。

                「マフィア・・・って知ってるか?」

                「マフィア?・・・ってあれだよね?こう・・・銃とか持ってて人を殺す、やつ?」

                「まぁ、それ。・・・俺はそのマフィアってやつで」

                「うん」

                「脚撃たれて建物の間に居たらお前が通りかかってとりあえずお前の所に逃げ込んだってわけ」

                「ふぅん・・・」

                「『ふぅん・・・』ってお前!怖くねぇのか!ここにいるのはマフィア!所謂、人殺しだぞ!?」

                秦くんは少し大きな声をあげて私に問い詰める。
                信じられない、というような表情だ。

                「まあ、びっくりはしたけどね?それでやっていけてるんだし」

                うんうん、と2回頷いて私はカップをキッチンへと持っていった。

                「っ、あはははははっ!」

                「えっ何、どうかした!?私、何か付いてる!?」

                急に笑い出す秦くんにそう言って私は顔に手を当てる。
                すると秦くんは違う、違うとまた笑った。

                「お前みたいな女、初めて。・・・あ、姉さんとかその他なしで」

                「それは、喜んでもいいのかな・・・?」



                これが秦くんと私の、初めての出会いでした。




                (そして1つの物語は動き出す)

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                千粒の雨
                category: Ventaglio
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                  ※短い








                  「あの、……っ…レン…さん…」

                  薄明りだけが部屋に広がる寝室のベッドの上に僕と麗様は居た。
                  押し倒してそのままの体制でじっと自分を見つめる僕に対して恥ずかしさを抱いたらしい。

                  ――そもそも、どうしてこうなったか。

                  それは、跡継ぎ問題である。
                  代々のヴェンタッリオのボスは血縁が繋がった女子と決まっている。
                  しかし現在のボスである麗様には血縁関係の女子はおらず、彼女自身が跡継ぎを生まなければならない。
                  ………その、何というか。
                  それに至る行為の相手が僕に決定になってしまったのだ。
                  それは生前、葵が僕に言っており、それを聞いたソルトが麗様に伝えたらしい。
                  流石に麗様も年頃の女性だ、少しは考えるだろうと思いきや、

                  「…はい、分かりました」

                  そう言いきって。――――――今に至る。


                  「あの、……麗様」

                  「え?あっ…はい、何ですか?」

                  「怖くは、ないんですか?」

                  押し倒したまま、僕は麗様へ言葉を投げかける。
                  麗様は少し黙った後、すぐに微笑んだ。

                  「確かにこういうことは慣れてなくて、少し不安ですが。…怖くは、ありませんよ。」

                  照れたようにくすりと笑って麗様は僕の首に腕を回した。

                  「レンさん」

                  「…なんですか、麗様」

                  「それ、…“麗様”じゃなくて…、麗って呼んでください」

                  「え、」

                  少し凝視して麗様を見ると続けて彼女は言葉を発する。

                  「私をボスとしてじゃなくて…一人の人間として抱いてくださいませんか?」

                  「麗さ、ま」

                  「一人の女として、私を…」

                  そして僕は気付く。
                  彼女から回された腕が震えていることを。

                  「分かりました、……麗。」

                  「レンさん…」

                  彼女はやはり少し怖いのだ。
                  相手が信頼している男であろうとも。
                  だから、僕は。

                  「優しく、しますから」

                  「…っはい…」

                  彼女の願いを受け入れる。

                  その夜は、外の雨音が響いていた。


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                  余所の子愛バトン
                  category: バトン
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                     余所の子愛バトン

                    ※他人様のキャラを好きな人向けバトン
                    ※質問の回答はすべて余所様関係で
                    ※質問によっては腐、エロ、下ネタも含みますのでご注意を


                    在処さんからです!ありがとう!

                    01.まず始めに回す人をどうぞ
                    →フリーは…!?フリーで…!


                    02.好きな余所様の男の子キャラを好きなだけ書いてください
                    例) 苗字名前くん(よみ)/○○宅

                    ソルト=ヴァルヴァレスくん/在処さん宅
                    紫俄 葵くん/在処さん宅
                    閑廼 祇徒くん/在処さん宅
                    東雲十六夜くん/在処さん宅
                    華表 暦くん/在処さん宅
                    オズ=シャルロアくん/在処さん宅

                    03.好きな余所様宅の女の子キャラを好きなだけ書いてください
                    例) 苗字名前ちゃん(よみ)/○○宅

                    鎖月聖さん/在処さん
                    リコリス=アレグレットちゃん/在処さん
                    レイシー=リデルさん/在処さん

                    04.上記に出てきた余所様宅や管理人について簡単に説明してください

                    在処さんしかいないという…もっと交流を持つべきだよ私!!
                    在処さんは小説お上手!!あとコラボしてくれてこちらこそありがとう!

                    05.○○宅の○○くん(ちゃん)は俺の嫁!と自称してるキャラ(複数OK)
                    →ソルトさんは俺の嫁

                    06.ただひたすらにいじめたいというキャラ(複数OK)
                    →なんというか、苛めたいというかいじりたいとしては祇徒さんかなと。
                     あと、ひたすらにリコリスちゃんに話しかけたい

                    07.友達になりたいというキャラ(複数OK)
                    →聖さん、レイシーさん。お姉さんみたいな友達が欲しいです

                    08.恋人になりたいというキャラ(一人)
                    →ソルトさ…ごめんなさい黙ります!!


                    09.かっこいいと思う男キャラ(複数OK)
                    →在処さん宅のキャラはみんなかっこいいです、マジで

                    10.かわいいと思う女キャラ(複数OK)
                    →上に同じく全員かわいいですもうかわいい!!


                    11.脳内でCVを決めて妄想してしまってるキャラ(複数OK)
                    →決まってるので妄想はしない…ああ、でもこのセリフを言って欲しいとか思ったりする

                    12.我が子と絡めて小説や絵を書(描)きたいと思っているキャラ(複数OK)
                    →小説は勿論だが絵とかを描いてみたい。ファミリーごとに…かな

                    13.好きな余所様キャラへ愛の告白を自分にとっての最高に気持ち悪いテンションでお願いします(複数OK)
                    あああああああああああああああもうなんでそんなに可愛いんですかあああああああああああああ!!!!!!!!!!なんでそんなにかっこいいんですか可愛いんですかかっこいいんですかああああああああああああああああああああ!みんな可愛いかっこいい!!!

                    ごめんなさい

                    14.余所様キャラを借りて140文字SSを書いてください(複数OK)
                    →今度で

                    15.我が子と余所様の子でCP妄想してしまってる人は一思いに脳内を晒してしまいましょう(複数、BGNL、サンドなど何でもOK)
                    →葵麗とか祇日とか十ちはとかやりますね…やりやがりますね。ほんと申し訳ない。

                    16.上記のCPをここぞとばかりに晒し、140文字以上で語ってみましょう。
                    →今度で

                    17.好きな余所様宅CP、余所様宅同士のCPを覚悟を決めて晒してみましょう(複数、BGNL、サンドなど何でもOK)
                    →全力で祇ロキ・祇透を応援してます。あれ、祇徒さんばっか…?


                    18.ぜひ我が子と友達になってください!というキャラを晒し語ってください(複数OK)
                    →聖さん…!!マジ美人…!!


                    19.ぜひ我が子とライバルになってください!というキャラを晒し語ってください(複数OK)
                    →ライバル……。日向と…ロキアさん…?ああ、もうそれっぽいことしてるか。

                    20.ぜひ我が子と主従になってください!というキャラを晒し語ってください(複数、パロOK)
                    →勿論、暦さんとティアナ。 私もいずれ描いてみたいです。

                    21.ぜひ我が子と恋仲になってください!というキャラを晒し語ってください(複数OK)
                    →恋仲になってくれるならもうウェルカムです。恋仲に限らずでもです


                    22.回す方へ愛を叫んでください。
                    →これを見た方!よろしくお願いします!!!

                    23.回す方へ言いたい事、お願い事があればこの機会にどうぞ!
                    →フリーですフリー!


                    24.バトンの感想をどうぞ!
                    →もっと私も交流しなきゃなと再実感。

                    25.お疲れ様でした!
                    →おつです
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                    恋愛豹変バトン
                    category: バトン
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                       恋愛豹変バトン

                      指定【浅葱ティアナ】
                      在処さんからリターンのリターン。
                      嫌いな相手は十六夜さん、ということで回ってきました!
                      好きな相手…というかまあ対象は暦さんとかで想定していただけるとry

                      1【息を吹きかけられる】
                      好→「っな…!?」(耳を押さえ
                      嫌→「気色悪いな。」(ギッと睨み

                      2【指を舐められる】
                      好→「っ…」(顔背け
                      嫌→「何のつもりだ、気持ち悪い」

                      3【髪を触られる】
                      好→「触って意味はないと思うが」
                      嫌→「…」(イラッ/手を払いのける

                      4【一緒に寝る】
                      好→「は?よくそんなことが言えるな。」
                      嫌→「ふざけるな、殺すぞ」

                      5【首輪をかけられる】
                      好→「この私によく付けようと思ったなぁ?逆にお前にも付けてやるよ」(ニヤ
                      嫌→「お前につけられるとは…私の一生の恥だな」(蔑み

                      6【肩をつかまれる】
                      好→「…なんだ、私に用か」
                      嫌→「触るな」(払いのける

                      7【大好きと言われる】
                      好→「………私は、……っ何もない…」(言えず
                      嫌→「気色悪…」(蔑み

                      8【大嫌いと言われる】
                      好→「……私は、…そんなことは、ないが」(「そんな〜」からボソッと
                      嫌→「ハッ、今更なんだよ」

                      9【一緒にお風呂に入る】
                      好→「な……!!ふ、ふざけてるのか!!」(怒りながらも微妙に赤いかもしれない
                      嫌→在処さん同様、想像出来なかったのでry

                      10【匂いを嗅がれる】
                      好→「何だ、…気持ちが悪いぞ、」
                      嫌→「殺す」(銃を構え

                      11【一肌脱ぐ】
                      好→「お前が私に対してそれなりの働きをしたなら、一肌脱いでも構わないぞ」(ニヤ
                      嫌→「私がお前に?それなりの報酬などしなくとも、私はお前のために一肌脱ぐつもりは微塵もない」(睨み

                      12【服を脱がされる】
                      好→「お、おま、何のつもりだ…!ったく、」(服を着る
                      嫌→「そうか、そんなにも殺されたいようだな、貴様」(キレすぎて「貴様」呼び/銃突きつけ

                      ●反応が気になる人に回しましょう。

                      リターンにリターンにリターンはおかしいでしょうか。
                      在処さん!時間があるときにでも構わないので暦さんをください!!(?
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                      特別な×しかた‐3‐
                      category: Benedire
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                        孤独な人なんだと、俺は思った。

                        そのとき、俺はこの人を愛そう、と思ったのだ。

                                                             特別な×しかた‐3‐


                        そこは俺の予想を大幅に超えたものだった。
                        マリィンコニアファミリーという俺の両親を殺したマフィアの屋敷に同じマフィアであるベネディーレファミリーが抗争を仕掛けたのはつい約20分前くらいだ。

                        「丁度敵が少なくて良かったよ。今マリィンコニアの下っ端共は別の所に行っていて警備が手薄だ。そっちの方にオズとレイシーを行かせた」

                        そう言った後たった20分間で廊下が血まみれ、壁には血飛沫がかかっていて、
                        吐き気を覚えた俺は口元を手で覆った。

                        「これぐらいでそれか?…よくそれで殺そうと思ったものだな」

                        「っ、すみま、せん」

                        殺した張本人であるティアナさんは返り血を浴びた顔を腕で拭き取って言う。
                        こんなまだ幼さ残る少女がこんな大の大人共を殺したのが信じられないと感じる。
                        その時、新たな敵が来て、それをティアナさんはすぐに、殺す。

                        相手を殺すためならどんな手段も選ばない、
                        簡潔に例えるならそう、―――――外道。
                        これがティアナさんのやり方。

                        「す、げぇ綺麗だ」

                        この血生臭さに慣れてきた俺はふと俺は思ったことを呟いた。
                        臆せずに、気高く綺麗で、可憐に殺していくティアナさんを見て思った一言を。

                        「は?」

                        「え?あ…いえ、何もありません」

                        聞こえていたようで聞き返された言葉に俺は返答して早歩きをしていた足をとめた。
                        ティアナさんは躊躇もなく片足で思いっきりそのドアを蹴飛ばす。

                        「ここがボスの部屋」

                        「ここ、が」

                        強く蹴り飛ばした先は一様に重苦しい空気に感じられた。
                        その先には――、ボスであろう男と、ティアナさんくらいの少年が居た。

                        「暦、殺ったか」

                        暦と呼ばれた少年はス、と動いてティアナさんの前に跪く。

                        「いえ、若干息はあります。恐らく後一回手を出せば死ぬでしょう」

                        「そうか、……神室優樹、」

                        暦、という少年に目を向けていたティアナさんが俺の方に目を向け、俺の名を呼んだ。

                                            「お前が殺せ」

                        言われた一言に俺は右手に持っていた使ってもいないライフルを構え、ボスとやらに向けた。

                        「…ころ、さないで、くれ…ぇ」

                        微かに聞こえる声が俺にとってどんなに嫌なことか。

                        「こ…う、ふくする…か…ら…」

                        喋らないでくれ。頼むから、…頼むから。

                        「お…れには…」

                        「喋るな、よ…っ」

                        殺すことが、出来無くなるじゃないか。

                        ―――――刹那。

                        「え……?」

                        銃が撃たれた音と、俺の視界に赤色が飛び散った。

                        「あ……」

                        「しつこい奴だ、こいつは」

                        見開いた瞼をそのまま撃った本人である――ティアナさんに向ける。

                        「……まぁお前は素人だ、簡単に殺すことは出来ないとは思っていたし、正直言って、お前に復讐なんて出来ないと思ってたよ。」

                        ため息交じりに銃を背負うティアナさんを黙って俺は見つめた。

                        「“すまない”というべきか、…これは復讐になってないな」

                        苦笑交じりに言うティアナさんを見つめたまま、俺は嗚咽する。

                        「いえ、…っ、立派な…っ、復讐です、ありがとう、ございました…っ」

                        ティアナさんの手を握って言う。
                        握った手はすぐに気持ち悪いと言われ振り払われてしまったが暖かさがあった。

                        ――その時、思った。

                        ―――――この人の傍に居たい。


                                                 *

                        帰りの車。
                        隣に座るティアナさんに俺は意を決して話した。

                        「…俺を、入れてくれませんか。ベネディーレに」

                        その時のティアナさんの顔は冷静そうだったが、目が驚きに満ちていた。

                        「いきなりだな、…何故急に?」

                        「それは…。やはり、恩義があるというか、でも、……やっぱり1番が、」

                        今思えば。
                        それはとても俺の人生の中で気障な台詞だったと思う。

                        「貴女のことを、愛してしまったみたいなので」

                        「――――――!」

                        その言葉を聞いたティアナさんの表情は完全に驚いていたが、すぐに元に戻り、俺へ言葉と眼光を手向けた。

                        「良いだろう、ベネディーレには入れてやる」

                        「!」

                        「だが、私を愛するな、私はそんなものいらない。どうしても愛するというのならば私を、見て、私の指示に従い、私を命を懸けて守り、そして、―――私のために死ね

                        嗚呼。

                        (この人は)

                        (なんて悲しくて、孤独な人なんだろう)

                        俺が、

                        「……はい、俺の命は、貴女のものです、…ティアナさん」

                        愛してやらなきゃ。



                                                *


                        「ま、今日はこれで十分かな。んじゃっ」

                        俺が入って数年経った今、あの人は王の玉座に君臨している。
                        伸びていた髪もばっさり切った。顔も幼さが消えて大人の顔になった。成長だってした。
                        もっともっとあの人を愛するようになった。

                        「いくらあの(ひと)に“そういう事”が出来ないからって、あたしにその欲求不満をぶつけられても迷惑なのよ!」

                        叫ばれた言葉を背に浴びながら俺は思う。

                        (ああ、そうだよ、レイシー姐さん、俺はあんたを代用してるんだ)

                        ティアナさんに触れられなくて、駄目なんだ。

                        俺は静かに彼女を愛してる、だけど彼女は俺の愛を受け入れてはくれない。

                        ならば。

                        (俺はティアナさんのために死んでやる)

                        それが、―――彼女のための特別な愛しかた。


                                                                      Fin



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